介護施設には様々なものがあるが、その1つに介護療養型医療施設があった。
介護療養型医療施設とは、主に療養上の医療を必要とする人のための施設だ。酸素吸入や胃ろうなど、医学的ケアが必要な人が入所している。病院や診療所などの医療機関内、或いはそれらの施設内に設置されていることが多かった。
介護施設には、特別老人ホームや介護老人保健施設などがあるが、それらへ入所するよりも要介護度が高い人が対象となっていたのだ。前述のとおり、介護療養型医療施設では医学的ケアが行われるが、その分介護療養型の費用は少し高めに設定されていた。
そして、介護療養型医療施設では、医療依存度の高い人と低い人が混在していたことが問題となっていた。医学的ケアと介護ケアを同時に受ける必要がある人が施設に入れないにもかかわらず、一方で医学的ケアが必要ない人が入所しているケースが多かったのだ。 そのため、医学的ケアが必要な人は医療療養病床へ入所し、そうでない人は介護施設へ入所するという振り分けが必要という声が挙がった。このような背景を受けて、2017年度末に介護療養型医療施設が廃止されることとなった。
医療と介護とを振り分けることで、医療現場のムダを整理することにしたのだ。そして、介護療養型医療施設の代わりに、介護医療院と呼ばれる新しいタイプの施設が利用者の受け皿となった。介護医療院とは要介護者に対し、長期療養のための医療と日常生活上の世話を一体的に提供する施設のことだ。介護と医療の双方において、より利用者のニーズに合わせた施設を目指している。